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「光」道尾秀介 [BOOK]

田舎町を舞台にした、子供たちの冒険ストーリー。

それぞれ育った環境の違う小学4年生の男子4人(途中からもう1人)と、うち1人の2歳上の姉。それぞれ、器用だったり不器用だったり、金持ちだったり貧しかったり、頭が良かったり、寂しがりだったり、性格の様々な子供たち。
つるんで遊び、危険な場所に行ってみたり、傷つけあったり、相手を見返してやったり、贈り物をするために危険な賭けにでたり、子供って忙しい。初恋も、それによる嫉妬もある。でも、子供ってこうだよね、という描写が随所にちりばめられている。

そして、子供らしいといえば、将来の夢を語るところ。カセットテープに吹き込むこの夢が伏線になっていて、素敵なラストにつながっていきます。

「月と蟹」も少年心理の描写が巧みでしたが、あれはちょっと変わった境遇だったかも。その点、この作品は誰にでもあてはまる懐かしさがありそうで、特に夏休みに読むのにピッタリな感じです。



光

  • 作者: 道尾秀介
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/06/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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「ロスジェネの逆襲」池井戸潤 [BOOK]

池井戸さんの作品は勧善懲悪だとわかっていても、やっぱり惹きつけられて、一気に読んでしまう。

「ロスジェネの逆襲」は、銀行の子会社である証券会社が舞台。そこには銀行から出向しているバブル世代の社員と、証券会社プロパーのロストジェネレーション世代の社員がいる。親会社である銀行に戻りたくて手柄を立てたい出向社員と、ほかに行き場はないのに面白い仕事を任せてもらえないプロパー社員はうまくいかない。どこも一緒ですね。

そんな証券会社に事件が起こり、出向社員なのに親会社のことなど気にしない顧客目線の半沢と、くさりかけていたプロパー社員の森山が力を合わせて問題を解決していくお話。

ストーリーは、証券会社に企業買収の相談が舞い込み、そのスキームを練っている間に、親会社である銀行から黙ってその案件を横取りされることから始まる。怒った証券会社側は、買収される側の会社のアドバイザーとなり、買収を阻止しようとする。それって同じ企業グループの利益相反じゃないの!?と思うけれど、そこは池井戸さんの作品、よくできています。

バブル世代を疎ましく思うロスジェネ世代に働く意味、面白さを教えているだけでなく、バブル世代も団塊世代も改めて仕事にやる気を持たせてくれそうな爽快なストーリーです。


ロスジェネの逆襲

ロスジェネの逆襲

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/06/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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「Happy Box」ペンネームに“幸”がつく5人の作家 [BOOK]

ちょっと時間があいたので、書店をブラブラしていて目に付いたこの作品。
小路幸也さん大好き、伊坂幸太郎さん好き、の私にとっては、書き下ろしだし読むしかないでしょ。と思って購入。 山本幸久さん、真梨幸子さん、中山智幸さんはこれまでご縁がありませんでしたので、こういう機会にぜひとも読もうと思ったしだい。

ペンネームに「幸」の字が入っている作家さん、意外と多いようですね。本名かどうかはわかりませんが、やはり幸せへの思いが込められた作家さんたちのアンソロジーですから、どんなにハッピーなのかしら?と読んでみたところ。。。

なかなか変化球の数々。以下はネタばれにならない程度の感想です。

伊坂幸太郎さんの「weather」は、お天気の話が得意な男性が主人公。舞台は親友の結婚披露宴ですが、この親友の過去の女性関係をいろいろ知っているため気が気でない。結婚披露宴は無事にハッピーエンドとなるのか、ドキドキしながら一気に読んで、なかなか感動する作品。伊坂幸太郎らしさがプンプンします。

山本幸久さんの「天使」。これはスリ師のお話なので終始切ない空気感なのですが、スリ師といっても心はすれていなくて、孤独なのに優しくて、なんとなく心が温まるお話。

中山智幸さんの「ふりだしにすすむ」は、前世とか来世とかのお話なので、現実味はないけれど、実際にこういうことがあったら幸せかもなぁと思える作品。

真梨幸子さんの「ハッピーエンドの掟」は、お母さんが水商売をしながら狭いアパートに暮らす母子家庭が玉の輿に乗って幸せになるお話。と思ったら、同じアパートに住んでいた子がハッピーになるお話なのかも。ちょっとした意地悪ですごくハッピーな気持ちになることあるよねぇと思える作品。

そして小路幸也さんの「幸せな死神」。死神が幸せになれるのかしら??という疑問はさておき、主人公の若い女性はある日ややあってイケメンの「死神さん」とお友達になる。この死神さんとの交友の中で彼の悩みを知り、願いをかなえてあげようとするお話。

どの作品も短くて若干物足りなさもありますが、とにかく、いろいろな幸せがあるなと感じます。


Happy Box

Happy Box

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/03/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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「舟を編む」三浦 しをん [BOOK]

本屋大賞に選出され、書店で大量に平積みされているのを見て、なんとなく軟派な帯のため手に取るのをためらいました。でも何度か行き過ぎた後、やっぱりちょっと読んでみようかと手に取ったら止まらなくなりましたよ。

とても時間と労力のかかる辞書編纂の仕組みや苦労が面白おかしく描かれていて、読んでいると辞書の魅力に取りつかれそうになります。登場人物はそれそれキャラが際立っていて、漫画やドラマのように引き込まれてあっという間に読み終えてしまいました。長い年月に渡るストーリーを飛び飛びでコンパクトにまとめている感じなので、若干ものなりない部分もありますが…。とても面白かったです。

「言葉」の持つ深みとか美しさのようなものに気づかされたし、沢山の言葉を覚えて使いこなし、色々な言葉で思いを伝えられたらよいな、という気持ちになりました。子どもの頃、親から買ってもらった辞書で思いつく言葉を引き、新しいことを知った喜びを思い出したり。

そういえば子どもの頃、母に何かを質問すると「辞書を引きなさい!」と一蹴されたっけ。「なんで教えてくれないんだ。お母さんも分からないんだな…」と拗ねたりしたけれど、辞書で調べる癖がついたのは母のおかげ。策士だな、母は。



舟を編む

舟を編む

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/17
  • メディア: 単行本



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