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「凍りのくじら」辻村 深月 [BOOK]

近所の書店で、直木賞を受賞した辻村深月さんの作品を集めたフェアをやっていたので、実はひとつも読んだことがないことから物色してみた。こういう自分の行動を改めて考えてみると、賞の効果って大きいのだな。

その中でわたしが選んだのは「凍りのくじら」。どれも面白そうだったので、装丁で選んだ感じです。こう考えると、CDのジェケ買いじゃないけど、見た目って大事です。

読んでみてびっくりしたのは、この作品の面白さもさることながら、ドラえもんの世界とか藤子先生のすごさ。子供のころのドラえもんの記憶は「わたしにもドラえもんがいたらいいな」と思ったり、「こういう道具があったらいいな」と考えた程度だけれど、この作品を読んで、もっと深い作品だったのだと思い知らされた。

話は飛ぶけれど、子供のころに「ドラえもんの道具」と「怪物くんの怪物」の募集というのがあって、(「小学○年生」的な雑誌の企画だったか?)、意気込んで両方応募した。結果、怪物のほうで何位か覚えていないような賞をもらった(賞品も覚えていない)けれど、自信作のドラえもんの道具はダメだったのだ。「季節販売機」といって、自販機のボタンで好きな季節を再現できるというもの。

考えてみると、それがのび太のダメな性格と、この道具を使うことで起こる出来事と、最後にこの道具はなくてもよいと思わせるストーリーが描けないな。

「凍りのくじら」は、ドラえもん好きな親に育てられた、ドラえもん好きな女子高生が主人公。写真家の父は数年前に死を悟って消え、母親も癌で余命わずか。冷めた性格の主人公はだれとも本音で接することなく、適度な距離感を保つ。別れたはずの病的な彼氏ともスッパリ切れることがなく、曖昧な関係を続けているうちに、気が付くと大変なことに巻き込まれている。そんな話。ジャンルとしてはミステリーなのかな。

彼女に写真のモデルをお願いしたいと声をかけてきた男性が何者なのか。この男に対しては素直になれるのがなぜなのか。そんな謎が素敵なラストにつながっていく。

主人公が過去を回想したり、元彼を表現したりするときに、随所にドラえもんの道具が出てくる。章立てもドラえもんの道具で、なんだかおもしろい構成。読んでいるうちに、改めてドラえもんを観たくなった。


凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/14
  • メディア: 文庫



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